言語聴覚士ブログ episode2 “口から食べる”に挑む~A様を通して~

2023年4月12日(水)

三股町、都城市の皆様こんにちは。

たでいけ至福の園で言語聴覚士として勤務しています田中と申します。

改めまして、言語聴覚士(以下、ST)とは「ことばや飲み込みのリハビリを中心としている専門職」です!

前回の「episode1“食べる”を支える取り組み」をお読み下さりありがとうございます✨

今回は、口から“食べる”という目標に向かって頑張ってこられたA様をご紹介します。

A様は脳卒中後遺症によりお口から食べるということが難しくなられ急性期病院、回復期病院を経て3食経管栄養の状態でたでいけ至福の園に入居されました。

利用開始当初、A様は嘔吐や嘔気に悩まされ摂食嚥下のリハビリも積極的介入が困難な状態でした。看護師や理学療法士(以下、PT)が状態を日々報告し合いながら、機能レベルを上げるために離床を慎重に少しずつ進めていきました。時には感染症の流行による影響や突発的な体調不良など幾度となく試練が襲いましたが、それでもA様の努力と、A様を取り囲むスタッフの連携により徐々に離床時間が増え、立ち上がり訓練や歩行訓練など取り組み、当初悩まされていた嘔吐や嘔気も落ち着いてきました。

担当のPTと経過を話す中で今の様子であれば嚥下訓練ができそう!と方向性を定め、本当にわずかな量の水分から慎重に練習を始めていきました。

その時に大切にしていたことは、A様の状態に合わせて、A様の

『飲んでみたい!食べてみたい』

という気持ちに寄り添うことです。せっかくのリハビリの時間が、『食べてまた気持ち悪くなった、飲み込めなかった』など不快な気持ちになるのではなく『食べる(飲む)事ができた!また食べたい!』と実感していただけるようなリハビリが行えるよう意識して、少しずつ慎重に進めていきました。

そして、慎重なリハビリを進めていき、積極的な嚥下リハビリとして介入できるようになったのはA様がご病気を発症されてから約1年後のことでした。

そしてついに先日...

主治医の許可の元、お鼻からの管が抜けて完全に3食経口摂取となりました!!

なんてステキな笑顔なんでしょう!!

入居されたときには既に感染症の流行が始まっており、ご家族様との面会はできたとしても画面越し。さみしさや心細さも時にはあったのではないかと思います。そんな中、ご家族のA様を思う工夫でお孫さんからのエールの声が録音された時計やぬいぐるみをリハビリの際には手元に置いてリハビリに励まれていました。また、お写真やお手紙が届いたりとA様を想うご家族のご配慮に私たちスタッフも心が何度も温かくなりました。

そして、日々の活動の様子やリハビリの様子を担当スタッフよりご家族へ定期的にご報告させていただきました。(当施設ではリハビリの経過や普段の活動の様子などご家族様と当施設をつなぐlineで担当スタッフの方より定期的に写真を添えてご報告させていただいています。)

今回のA様の経過を通して、

A様の努力、ご家族のサポート、利用者様の“今がタイミング!”を見逃さない多職種での観察とサポート が鍵になったのではないかと私は感じています。

本人のとっても嬉しそうな表情もご家族からいただく嬉しいお言葉も、スタッフが利用者様を囲み一緒になって利用者様の回復を喜び合う姿も全てがSTとしての糧になっています。

次回のepisode3.では、よく周りの方々から聞かれます、「たでいけ至福の園での具体的な言語聴覚士としての役割」についてお話しさせていただきます。

Episode3.までお付き合いいただけますと幸いです。

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