日常を「日常」として続けるために・・・

2020年12月29日(火)

三股町、都城市の皆様、こんにちは。理学療法士の前田です。

12月になり、寒さも本格的になってきました。利用者様と一緒に体調管理に十分行い、この寒さを乗り越えていきたいです。

さて、たでいけ至福の園のデイサービスは、身体機能の状態によって2つに分けられています。

一つは自立支援に特化した要支援1・2と要介護1・2までの方を対象とした「あゆみ」。

そしてもう一つが要介護度3以上の中重度者対象の「きずな」です。

私は現在「きずな」の利用者様の機能訓練に携わらせていただいております。

「きずな」の利用者様は寝返りや起き上がりといった基本的な動作が自分では困難な方もおられ、私たち機能訓練士はその基本動作の獲得や、日常生活時に必要な支援を苦痛なく受けられるように、身体機能を維持・改善するために介入しています。

普段何気なく行っている動作や姿勢も、いろいろな条件を満たして可能となります。

例えば私たちが何気なく行っている「座る」という姿勢ですが、これは一般的には膝と股関節などが曲がり、脊椎が体を支え、首が頭を支えるなど出来て初めて可能な姿勢です。

利用者様の中にはこの座る姿勢が困難な方もおられます。

首がまっすぐに保持できずに体が前かがみになる、体が横に傾いてしまう、座っているとお尻がズレ落ちそうになる、などです。

座っていられないと、机の上の食べ物を見ながら食事することや、目線を周りに向けて体操をしたり、隣の方の顔を見て会話をすることなどができません。

また、現在座ることが出来ていても、体調を崩して寝ていることが多く、動かす機会がなかったりすると、関節が徐々に硬くなり、筋力は弱くなり、体力も落ちてしまい、座る条件が満たされなくなり座れなくなります。

機能訓練としては、例えば座るために必要な各関節が硬くなることを予防・改善していくために関節可動域訓練を行ったり、座っていられるだけの体力をつけるために時間を決めて座位訓練を行ったり、時には車椅子を替えることによって、その方が苦痛なく安心して座っていられるようにしていき、日常の生活で行えるようにしていきます。

その他の日常生活も同様で、例えば更衣動作も自分で行うにしても、支援を受けて行うにしても、苦痛なく行えるように肩や肘が必要に応じた関節の角度を保つために維持・改善を図る必要があります。

「座ってみんなと体操をする。」

「苦痛なく衣服の脱ぎ着ができる。」

「顔を前に向けて食事が食べられる。」

そういう何気ない「日常」がずっと変わらない日常であり続けるために私たち機能訓練士は利用者様を見守っています。

それは例えるならば、スポーツの監督のようなものでしょうか。表舞台の試合には出ませんが、選手をしっかり陰で支えているのです。

そういう日々の陰の働きかけを行い、元気に体操をされている利用者様を見て、今日も私は「よしよし…」とそっと微笑むのです。

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