その人“らしさ”に寄り添って

2024年7月19日(金)

三股町、都城市の皆さまこんにちは。

たでいけ至福の園 有料老人ホームの作業療法士 竹中です。

育児休暇を経て現場復帰し、訪問看護のリハビリにも加わらせていただき、挑戦と学びの日々を送っています。

今回は私が働く上で意識しているパーソンセンタードケア(※1)の考え方についてお話しいたします。

皆さんはパーソンフッド(person hood)という言葉を聞いたことがありますか。

その意味は、「1人の人として認められ尊重されること」ということです。このことは、老年期に限らず現代の世の中でも共通する重要な事柄ではないでしょうか。

パーソンフッドを提唱している臨床心理学者Kitwood氏(※2)は、認知症を持つ人を取り巻く社会的環境について以下のような「悪性の社会心理(MSP)」とよび警告しています。

悪性の社会心理(MSP)

〇あとまわしにすること 

〇子供扱いすること 

〇能力を使わせないこと 

〇中断させること 

〇わかろうとしないこと

(一部抜粋)

MSPは認知症の有無に限らず、だれしもあってはならないことです。

認知症をもつ方はパーソンフッドを維持する心がけが特に大切で、そうすることがその後の進行に影響してきます。

私が担当させていただいているA様は自由に移動したり発信したりすることが難しい利用者様のお一人です。

しかし、お部屋ではご主人が用意してくださったA様の好きな歌が流れ、時折口ずさまれながら穏やかな時間を過ごされています。

音楽をきいた職員が『懐かしい歌ね!私もこの音楽好きなんですよ。この時代は‥』とA様を囲んでお話ししています。その瞬間から寝たきりのA様ではなく、同じ時代を生き同じ音楽を楽しんだ1人として認識されます。表情も柔らかくなり安心できる空間へと変わっていくこの時間が私は大好きです。

たでいけ至福の園には、利用される方の「いま」に寄り添い一緒に目標に向かうスタッフが揃っています。Instagram・Facebookでもその情報を発信していますので、ぜひご覧ください。

作業療法士 竹中 玲奈

(※1)パーソンセンタードケア:認知症の方を一人の人間として尊重し、その方の価値観や意向、ニーズを理解してケアしていくという考え方

(※2)Kitwood氏:英国の心理学者トム・キットウッド教授(1937-1998)のこと

参考文献:認知症を持つ人への作業療法アプローチ

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