「当たり前」をかなえるために・・・

2020年9月10日(木)

都城市・三股町の皆様こんにちは。

作業療法士の山本と申します。今回は認知症の利用者様のお話です。

たでいけ至福の園も例にもれず、コロナウイルスの影響により外出制限、面会制限が続いております。利用者様の施設での様子をラインでご家族様に発信したり、Zoomによるリモート面会など試みていますが、どうしてもかなわないのが、“利用者様の外出”です。

当施設には、週に1回、移動販売のパン屋さんが来てくださいます。先日、職員や希望される利用者様が買い物に向かう姿を見て、「何かしら…」と興味を持たれたAさん。「みんなどこへ行くの?」「わたしも買ってみようかしら…」とがま口を握りしめ職員と共に玄関の外へ。目移りするほどたくさんの種類のパンを前に、「これは何が入っているの?」「おすすめはどれ?」。理数系のAさん、財布の中身と相談しつつ、これなら買えそう、とウキウキしながら購入。昼食前だったこともあり、後で食べましょうと一旦職員が預かり、適宜声掛けして食べていただきました。

認知症の典型的な症状の一つ短期記憶障害のあるAさんですが、以来毎日のように玄関の外を眺めて「パン屋さん来ないかしら」。短期記憶に障害があっても、楽しい嬉しいという快刺激は残りやすいと言われています。しかし、一度経験しただけでというのにはびっくりです。店員さんはじめ職員や他の方たちと楽しく会話しながら買い物をするのがよほど楽しかったのではないでしょうか。ちなみに買い物をしたら満足され、パンを食べることにはあまり執着はないようで、毎回職員の声かけに「そうだったっけ?」と笑いながら食べていただいています。

生活に制限(支障)が生じ、自由に買い物をするという当たり前のことが出来ない方にとって、このような機会を持つことがいかに大切か、生活に潤いをもたらすか。日々の何気ない活動をリハビリとして活かし提供できるよう、声掛けや場のセッティング等、職員一丸となって取り組んでおります。施設での生活に不便を感じないよう、今後も様々な取り組みをしていきたいと思います。

認知症の方への介護で悩んでおられる方、認知症ケアに興味のある方は、ぜひ、たでいけ至福の園へお問い合わせください。

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