感覚と姿勢制御について

2021年1月29日(金)

三股町、都城市のみなさんこんにちは。作業療法士の山下です。

今回は脳出血後遺症の40代 要介護度5 座位姿勢不良の方に対するアプローチについて

食事時の不良姿勢が課題であるためリハ科ミーティングにて検討しました。

まず、人の姿勢制御には視覚、前庭感覚、体性感覚の3つの感覚入力が中枢神経系で統合されてコントロールされています。

人間の発達過程において

乳児は前庭系優位の姿勢戦略、乳幼児になるにつれて視覚優位、4歳~6歳頃には前庭、視覚、および体性感覚入力が統合し始めます。(加齢により筋力低下が進むと体性感覚系が退化し、視覚系優位の姿勢制御へ移行・・・デイの利用者さんも毎日筋力・体力・感覚トレーニングを頑張っています)

本症例のような脳卒中後のケースでは60%以上に体性感覚での姿勢制御が困難となり、前庭・視覚系が優位になるとされています。

本症例においても同様の可能性が十分に考えられ、後遺症(片麻痺)の影響に加えて身長185cm前後と体格がよく、移乗介助等についても2~3名で行っている状態であるため、日々生活の中で感覚入力の機会が十分ではありません。

上記感覚入力は中枢神経系で統合され姿勢制御されていますが、いずれかの感覚を失うと姿勢の定位、安定に必要な情報が不十分で正確な姿勢制御ができなくなります。

症例の状態としては前庭感覚と視覚入力は比較的保たれていると考察されます。今回リハ科ミーティングにて、立位を行うことよる下肢からの固有感覚入力を刺激し、中枢神経系への働きかけ、体性感覚入力の再重みづけを試みました。

~訓練中~

(PT・OT・ST・介護職共同でできるのが至福の園の素晴らしいところ)

【After】

(訓練開始して3日目ですが改善が見られてきています)

感覚入力によるフィードバックに加え、体型にあった既製車椅子がないため車椅子のオーダー(シーティング)、高次脳機能障害に対するOT・ST介入、介護職によるレクを使った訓練も並行して行っています。

利用者様に改善がみられ、少しでも生活が豊かになることはもちろんですが、リハ科のみんなで話し合って、PT・OT・ST一緒になって取り組んだ訓練に成果が得られたとき、みんなで喜びを分かち合えたときには

「このメンバーでよかった!最高のチームだなー!」

と心の底から思います。

リハ職のみなさん。たでいけ至福の園で一緒に楽しく働きませんか?

顧問の高木先生による研修や臨床指導、多彩な講師陣によるセミナー、社内研修等とリハ職の教育体制も非常に充実していますよ。

お待ちしています!

参考文献:2019-2020 I.SOLUTION研究会

     バイオメカニズム学会誌 vol39.No4(2015)

← トップページに戻る