リハビリを「楽しみ」に変える

2020年12月11日(金)

都城市・三股町の皆様こんにちは。

作業療法士の山本です。

今回は機能維持目的のリハビリについてお話させて頂きます。

高齢者の身体変化には、加齢による筋力などの身体機能の低下に加え、使わない、動かないことによる機能低下があります。その機能低下の度合いも若年者に比べ極端で、数日動かなければまともに歩けなくなる事も珍しくありません。定年などにより仕事を離れると、身体を動かす、頭を使う機会が徐々に減っていきます。運動系のアクティブな趣味がある方はまだしも、長年仕事一筋だった方は「仕事に行く」という目的がなくなることで活動量が激減します。臥床時間が増える、起きてもずっと座っている……次第に筋力も意欲も衰えていきますが、病気でもない、齢だから、とリハビリの必要性も感じない……当然機能低下は加速していきます。

皆さんも休日にごろごろしてのんびり過ごしたくなることがありませんか? 

疲れやすくなった高齢の方では尚更です。そんな時「運動しましょう」と言われても、「結構です」とお断りされるのは当然の事。特に認知症の利用者様は、短期記憶の障害により、30分前から座っていても今座ったばっかり、と認識されていたり、

「何故自分がリハビリをしなければならないのか」

「やりたくもない運動をやらされなければならないのか」

と疑問を感じられるため、リハビリに参加していただくこと自体困難な場合があります。

Aさんもリハビリへの参加が困難な方です。博識な方で、現役時代は第一線で活躍されていました。多少歩行が不安定になっていても「もう90過ぎているのだから」「自分の事は自分が一番よくわかっている」。レクリエーションに参加し、軽い体操もする、それで十分と思われても仕方ない状況です。しかし、日中は椅子に座ったきりで、トイレやちょっと横になりたいと思われた時以外立つことがありません。下肢筋力維持・歩行訓練は必須の方です。

そこで、施設内の別室まで「お茶を飲みに行きませんか」とお誘いし、散歩がてら移動。窓外を眺めながらお茶を飲み、色々なお話を聞かせていただきます。

子どもの頃の話、バリバリ働いていた頃のお話、他愛のないお天気の話から今まで聞いたことのないエピソードが飛び出すこともあります。

片道約45mの道のりですが最初のうちは息切れし、途中で休まれることもありました。しかし「お茶を飲み話す楽しみの時間」として毎日続けていただくことで、徐々に足取りも表情も良くなってきました。

一日一回、往復約90mの歩行、些細なことですが続けることが大切です。

高齢者の機能維持のためには、日常生活の中で動く、人とのふれあいの時間を持つ、話をする、という当たり前のことを軽視せず続けていくことも大切なリハビリテーションになります。

デイサービスの自然な流れの中でリハビリに取り組めるよう、職員全員で協力し、雰囲気作りに努めています。

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