「食欲が低下している高齢者」のリハビリ

2021年7月15日(木)

都城市、三股町の皆様こんにちは。

言語聴覚士(ST)の石谷です。

さて、今回はたでいけ至福の園のSTより「食欲が低下している高齢者」のリハビリについての話を支えていただきたいと思います。

「最近、ある利用者様がご飯を食べなくなった」「うちの祖父(祖母)が全然ご飯を食べなくなった」

「最近ご飯が食べられなくなった」

たでいけ至福の園でSTをしているとこの様な相談を受けることがあります。

実際、低栄養状態にある高齢者は少なくなく、低栄養によって免疫力の低下や筋肉が衰え大きな怪我(骨折)をしやすくなる事も事実として多いです。では、なぜ高齢者の食欲低下が起こるのか?

私は高齢者の食欲が低下している原因を大きく

「認知の問題」「能力の問題」「精神の問題」と3パターンに分けて考えています。

「認知の問題」は認知症や高次脳機能障害によって食べ物を脳で食べ物と捉える事が難しい状況を指します。

この場合は、まず「食事の形態」を見直してみましょう。刻んでいたりミキサーにかけていると嚥下はしやすいですが食べ物と認識しづらくなってしまいます。本人の嚥下機能にあった食形態を再選定する事が大事です。また、自宅であれば実際に目の前で食事を作ったり、安全が確保できている状態に限り一緒に作ったりする事で普段よりも食事に集中させることが大事であると考えられます。

「能力の問題」は脳梗塞の後遺症などが原因で麻痺が残存した方やその他の要因で顔や体が上手く使えない事による影響が大きい状態を指します。この場合は、まず「環境」を整えてみましょう。スプーンが上手く使えないなら介助用のスプーンを使用する、食事に時間がかかってしまい疲れてしまうなら食事量を少なくして足りないカロリーを他の物で補うなどをしてみましょう。また、「能力の問題」ではリハビリの効果が発揮される場面が多く、言語聴覚士だけではなく作業療法士、理学療法士、管理栄養士その他多くの職種と密に連携していく事が必要とされてきます。

「精神の問題」はストレスや鬱状態の影響で食欲が低下している状態を指します。

身体的、環境的な要因が複合的な場合、容易に解決できるものではありません。まずは本人様の不安を取り除く環境作りをして下さい。その後、欠食しない事を目標として、周りと連携して取り組む必要があります。

また、何よりも無理に食べさせようとしないことが重要です。無理に食べさせようとするとストレスに繋がり食事拒否に繋がるケースもございます。

ここまで高齢者の食欲低下について書いてきましたが、一番重要なのは高齢者を食事の場面で一人にしない事だと思います。食事の場面で家族や周囲の方々が声をかけ高齢者の小さな変化に気づくのも高齢者の食欲低下を防ぐ大切な要素になるのではないでしょうか。

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